補修・補強技術:
タフネスコート工法
目的:
- トンネルの補強・先受け
土木構造分類:
- トンネル
災害対策:
- 地震
「タフネスコート工法」は、コンクリート構造物の表面にタフネスコート(ポリウレア樹脂)を吹付けることにより、構造物に必要な機能を保持し、長寿命化を図る技術です。今後「樹脂被覆コンクリート」として、21世紀 におけるリニューアル事業への展開が期待されています。
タフネスコート工法標準断面図
4つの機能
1.剥落防止
・タフネスコートを1.5mm吹付けることにより、経年劣化によるコンクリート片の剥落を防止できます。 ・トンネル覆工を模した載荷実験では、70mmの大変位に対しても剥落を防止できるとともに、大変形時においても荷重を保持でき、トンネル覆工の安全性を大幅に向上できることを確認しました。 ・実トンネルにおける施工では、閉鎖空間でも施工性に優れることおよび十分な付着強度を有することを確認しました。
2.耐久性向上
〇耐塩害性 タフネスコートを1mm被覆することで、塩化物イオン透過量は、270日時点で、許容値の1/50~1/500程度となり、コンクリート構造物の塩害に対する抵抗性を大幅に向上できることを確認しました。
〇耐凍害性 凍結融解試験(JISA1148)を実施した結果、タフネスコートを2mm被覆することで、コンクリートの動弾性係数は低下せず、凍害に対する抵抗性を大幅に向上できることを確認しました。 〇耐中性化 炭酸ガス中性化試験では,タフネスコートを1㎜被覆することで、6カ月後の中性化は全く認められず、中性化に対する抵抗性を大幅に向上できることを確認しました。
3.貯水性確保
・タフネスコートを2~3mm吹付けることにより、水圧0.3Mpa、ひび割れ幅2~10㎜の厳しい条件でも漏水がないことを実験により確認しました。 ・大規模地震時に想定される曲げひび割れ(2㎜程度)に対して、タフネスコートが追従するため、L2地震時の貯水性を確保できます。 ・従来の工法に比べて、経済性、耐久性に優れています。
4.耐衝撃性確保
・タフネスコートを2mm吹付けることにより、衝撃力に対して粘り強さを発揮し、部材の断面が破壊した後でも形状および耐荷力を保持できます。 ・実大衝撃実験における繰返し衝撃載荷では、タフネスコート(2~4mm)で被覆することにより、崩壊までの入力エネルギーが約50%増加することを確認しました。 ・圧縮側(下面側)に発生するひび割れは壁体に留まり、フーチング部へは損傷が波及しないことが確認されました。